現代のさまざまな要素(ITや情報メディアなど)についての哲学的な考察が色々。
二進数がライプニッツの発案からコンピュータの基本仕様としての実用化まで300年かかったこと に触れて、現代にそんな先進的発想が出現するかどうか疑念を表明している。
スチル写真がビデオの一部として埋没する可能性について、「決定的瞬間」の
概念が消滅する可能性を論じていた。
ビデオがすべてを記録する訳ではない(写野の外は当然記録できないし、
記録対象と撮影者の位置関係は記録後に変更できない)ことを考えると、
幾分無理に思えた。
「マルチメディア」コンテンツを知覚するためには、なんらかの媒質が必要であることを 根拠に、コンテンツに関わる言説がメディア分離を前提としていることを批判している。
臓器移植が、生命の保全と臓器の有効活用という点で、正反対のベクトルにあることを 指摘している(レシピエントには一刻も早く臓器を移植しなければならないが、そのためには ドナーから一刻も早く臓器を奪わなければならない)。
エピローグにあった、アンティークな情報機器と進歩の著しいPCの間を数ヶ月の間隔で 行き来している(しかも、片方に熱中している間、他方には無関心になってしまう) エピソードがちょっと気に入った。
「読書する暇人を憎む」ニイチェには怒られそうだけ、わりと軽く読めた。
ただし、筆者はかなりの難行苦行の末に書き上げたとのことである。
本稿を打鍵するうちに気づいたのだけど、コピペせずにこの本の要点をピックアップするのは、
ちょっと"脳"力が要るようだ。
読書メーターにも書いた。
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